かいじゅうたちのいるところ
アメフトにおけるライン。そこは怪獣たちの住処である。
NFLを見始めた時、ほとんどの人が注目するのはクォーターバックです。当然です。花形ポジションです。アメフトの中心は常にQBです。次にワイドレシーバー、あとランニングバックといったところでしょうか。時にジリジリと、時にドカンと相手陣地を切り裂いていくオフェンスは見ていて気持ちのいいものです。
しかし私はラインの攻防が、そしてラインマンたちが大好きなのです。
何せ身長190㎝体重110kgが平均というジョナサン・ジョースターか空条承太郎かというムキムキマッチョマンが目を血走らせてQBめがけて突っ込んでくるのです。ある時はオフェンスラインを粉砕し、ある時はわずかに開いたラインの隙間をこじ開ける。その俊敏性と獰猛さは虎のような大型肉食獣を思わせます。
それを迎え撃つのは平均身長195㎝体重130kgという高さと分厚さを兼ねそろえた巨人たち。パス攻撃の時は相手の侵入を許さず、ラン攻撃では一丸となって敵陣へ突入する。その様はまさに重戦車。
アメフトではそんなモンスターたちがワンプレイ毎にぶつかり合います。WRやRBにボールが渡らないプレイはありますが、ラインマンがぶつかり合わないプレイは(ほぼ)ありません。(ラインが存在しないロンリーセンターという面白プレイもありますが)
ラインマンたちは仲間を守り相手を倒すため、そして怪我から自分を守るためにトレーニングを欠かしません。鋼のように絞り上げられたムキムキマッチョか、人間とヒグマの中間くらいの選手がほとんどです。
そんな漢たち7~9人が一つどころでぶつかり合う。個人の力やコンビネーション、トリックプレイなどありとあらゆる手を使った攻防です。ワンプレイワンプレイがWWEのロイヤルランブル状態です。
アメフト観戦に慣れてきた方はぜひラインに注目してください。そこは泥と汗と血にまみれた、しかし決して汚くはない怪獣たちの戦場なのです。